経産省によると、ヘムスやスマートメーターを含むエネルギー関連住宅「スマートハウス」の国内市場規模は2020年に3兆4,755億円に成長すると予測されています。くわえ、ヘムスには補助金も用意され、政府が導入を促進する事業の一つになっています。

 現在、市場拡大を見越して、パナソニック、東芝のほか、自動車部品大手のデンソーといった企業が市場に参入しています。これらヘムスの新製品投入は、単に「エネルギー・エコ」分野の発展の証としてだけではなく、家電業界にとって別の意味あいを含んでいるともいえます。

 これまで、電機業界の花形といえば、薄型テレビや携帯電話などの単体の製品が主流を占めていました。ただし、日本のお家芸ともいえるこれらハイテク製品は、近年、ことごとく外国企業に世界シェアの上位を奪われています。そのなか、今後、日本のメーカーが生き残っていくには、ヘムスのように、さまざまな製品が組み合わさり作用することで、価値を生み出す「システム」にビジネスチャンスの可能性があるといえます。

 ヘムスに繋がるのは、各種家電製品や発電、蓄電器とさまざまな機器です。ヘムスの機能、性能を高めるには、これら機器に関して多くの知識が必要となります。実は、これら機器の全てに高い技術を持っているのは、日本企業以外では世界に多くいません。ここに外国企業には真似できない、日本独自の強みがあるともいえます。すでに製品単体では、競争に勝つことが難しい今、ヘムスの背景には、このような「システム」に、生き残りの道を探るメーカーの期待がうかがえます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)