国税庁は、タックスヘイブン(オフショア)に財産を持つ日本人のリストを大量に入手し、脱税などが疑われる場合の調査をしていくことを明らかにしました。リストはオーストラリア国税庁から提供されたものです。国税庁ではすでに分析を開始しており、詳細は明らかにされていないが〝日本人と思われる氏名や住所〟などが確認できているとしています。今後、資料は順次送られてくるといいます。

 これらの調査結果について国税庁では、平成26年からスタートする国外財産調書の提出義務者を把握するうえでの「端緒となる」としています。国際的な脱税や租税回避の抑止には各国の当局が尽力していますが、なかでも豪、英、米の3カ国はオフショアに所在する法人などの情報を大量に入手し、連携を取りながら調査を進めていくと公表しています。
 また、5月16日から17日にかけてモスクワで開催された経済協力開発機構(OECD)税務長官会議では、「各国は団結して国際的な脱税および濫用的租税回避に断固として対抗し、脱税者およびその幇助者に対しては、どのように脱税を隠ぺいしようとも、見逃すことはない」と、力の入った声明が発表されています。

 今回入手したリストについて国税庁では、国外財産の申告漏れを調査していくうえで「非常に期待している」とし、各国の関係機関と連携しながら租税回避の抑止に取り組む構えを示しています。

 OECDではタックスヘイブンについて「金融・サービス等の活動から生じる所得に対して無税もしくは名目的にしか課税せず」、さらに(1)他国と実効的な情報交換を行っていない、(2)税制や税務執行につき透明性が欠如している、(3)金融・サービス等の活動につき、自国(地域)で活動することを要求しない――のいずれかに当てはまる非課税国・地域と定義しています。
<情報提供:エヌピー通信社>