日本国民に固有の13桁の番号(法人は12桁)を割り当てて、徴税と社会保障給付に活用する「共通番号(マイナンバー)制度」が、2016年1月にスタートします。番号自体は2015年の秋から通知され、2016年1月から、ICチップが埋め込まれた顔写真付き個人番号カードが配布される予定です。マイナンバー制度はアメリカの「社会保障番号制度」などを参考に、個人や法人の所得や経費をより正確に把握し、徴税の公正さにつなげる狙いがあります。

 税務署などに提出する法定調書は、企業に勤めている人が年末に出す「給与所得の源泉徴収票」や、自営の方が出す「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」など、全部で50種類以上あります。これらの法定調書が番号付きで提出されれば、税務署はこれらの書類を確実に名寄せできるようになるわけです。

 さらに法定調書の範囲を広げたり、銀行口座に個人番号を振って資金移動を把握できるようにしたりする制度の拡大も視野に入っているようですし、各省庁や自治体が縦割りで管理している個人情報の一元管理も今後検討事項にあがってくることが予想されます。一方安全性の面からみると課題もあがっており、個人情報が一本化されることで、重要な個人情報が漏洩しやすくなり、犯罪に利用される恐れがあることが指摘されています。所得や病歴、納税額などが取集、分析されたり、なりすまし被害が増加したりする恐れがあり、その防御のためのコスト負担は税金でまかなうことになるでしょう。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)