神奈川県厚木市は、昨年6月に支給した期末勤勉手当(民間の夏のボーナスに相当)の所得税が未納付だったと発表しました。市長を含む特別職と一般職の合計1618人分で、滞納額は約1億2900万円に上ります。追徴税額は約1150万円になるとみられています。会計課の定期的な調査で、入出金を記録する整理簿を点検したところ、未納付だったことが判明したといいます。本税分についてはすでに納付を終えており、追徴課税分については7月末に正式な通知が届くのを待って、8月末までに納付するとしています。

 厚木市では、市職員の給与や一時金などから源泉徴収した所得税を、財務会計システムで自動的に指定銀行の口座へ入金。この銀行口座から税務署に納めるには伝票が必要ですが、今回は職員課の担当職員が起票するのを忘れていました。昨年12月支給のボーナス分の所得税は納付していたものの、6月分が未納になっていることには気がつかなかったとしています。

 民間企業などの場合、社員やパートなどの従業員から源泉徴収した所得税は、原則として実際に給与を支払った月の翌月10日までに納税します。給与の支給日から翌月10日の納税期日までは、会社の「預かり金」などとして科目処理するのが一般的で、源泉徴収した所得税を納付しないでいると、いつまでもこの「預かり金」が計上されたままになります。

 厚木市ではボーナスから源泉徴収で〝天引き〟した所得税を、会計システムで自動的に指定口座へ入金する仕組みにしていました。自動入金された「預かり金」が、納税用の銀行口座に約1億3千万円も余分に残ったままの状態を、厚木市では「おかしい」と思うこともなく、約1年間「気が付かなかった」としています。また、原因は「出金伝票の起票漏れ」だったとしていますが、そもそも口座の出納をきちんと管理していれば、毎月末の残高が多いことを1年以上も放置したままにはならなかったでしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>