平成25年度の「基準地価」が公表されました。基準地価は今年7月1日時点の全国の地価を不動産鑑定士が調査したもので、毎年1月1日時点で調査される「公示地価」と補完関係にあり、土地取引や固定資産税評価の目安になるものです。

 全国の地価の平均は住宅地がマイナス1.8%で22年連続、商業地がマイナス2.1%で6年連続下がりましたが、いずれも下落率は昨年から縮小しています。前年から継続調査した2万666地点のうち、地価が上昇したのは2925地点(前年は658地点)で、昨年に比べて4倍以上に増えました。また横ばいも2660地点(同1972地点)を数え、地価が回復している地域は前年以上に大幅増となっています。

 今回の調査で注目すべきは、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の地価が上昇基調にあるということです。3大都市圏の全用途平均は0.1%上昇し、平成20年以来のプラスに転じました。商業地は0.6%上昇に転じ、住宅地は0.1%下落となりましたがマイナス幅は昨年から縮小。また、商業地の2分の1地点(681地点)、住宅地の3分の1地点(1384地点)が上昇しています。

 3大都市圏で地価が上昇した要因としては、アベノミクスによる金融緩和で景気回復への期待が高まって不動産を購入する投資家や企業が増えたこと、また低金利や住宅ローン減税、消費税引き上げを控えた駆け込み需要の増加、相続税対策としての不動産購入などが挙げられます。

 3大都市圏で地価が上昇している一方で、地方圏は9割弱の9252地点が下落し、上昇地点は5.5%にとどまりました。人口減少や高齢化が進んだことで市街地から店舗や企業が撤退し、住宅や商業ビルの需要の減少が地価下落につながっているようです。今後、いっそう大都市圏との二極化が顕著になることも考えられます。
<情報提供:エヌピー通信社>