国税庁が平成24事業年度(平成24年7月〜25年6月)の「相互協議の状況」をまとめました。これによると、今年6月までの1年間に発生した事前協議事案は167件でした。このうち事前確認に関するものは131件。全体の約8割を占めています。

 「相互協議」とは、納税者が租税条約の規定に適合しない課税を受け、または受けると認められる場合に、その条約に適合しない課税を排除するため、条約締結国の税務当局間で解決を図る協議手続のこと。また、「事前確認」とは、納税者が税務当局に申し出た独立企業間価格の算定方法などについて、税務当局がその合理性を検証して確認することをいいます。納税者が確認した内容に基づいて申告している限り、移転価格課税は行われません。

 相互協議事案の発生件数は平成21事業年度の183件をピークに、それ以降の2年間は減少傾向にありましたが、24事務年度は前事務年度の143件に比べると再び増加に転じたことになります。発生件数の内訳は、「事前確認」の131件のほか、「移転価格課税」が30件、「恒久的施設」や「源泉所得税関連」の事案が6件となっています。

 事案の処理件数は前の年度より13件増えて170件となり、年度ごとの処理件数では過去最多を更新しました。処理件数が増加したことで、相互協議事案全体の繰越件数は3年連続で減少しています。処理件数を地域別にみると、「米州」が87件で最も多く、次いで「アジア・大洋州」の51件、「欧州等」の32件となりました。
 1件当たりの処理に要した平均的な期間は29.3カ月で、前事務年度の平均期間である25.1カ月と比べて長期化していることが分かります。
<情報提供:エヌピー通信社>