月20日、日本を訪れた外国人客数が初めて年間1,000万人を突破しました。政府は成長戦略の柱の一つに観光立国を掲げており、2030年には訪日外国人数を年間3,000万人超にすると目標を打ち出しています。観光産業は、リーマンショック以降、東日本大震災、原発事故と逆風にさらされていました。そのなか、東京五輪開催が決定し、訪日外国人数を大幅に伸ばす起爆剤になるのではないかと期待されています。ただし、課題は観光客数の増加が一時的なものに終わらず、2020年の五輪が終わったあとも日本が観光立国であり続けることにあります。

 現在、この課題解決に貢献するものとして有望視されているのが、「カジノ」計画です。カジノというとギャンブルのイメージが強くありますが、構想では、単にギャンブル場をこしらえるのではなく、ホテルや会議場、展示場、レストラン、ショッピングモールなど、統合型の施設をつくり、一大リゾート地区を創設するというものです。

 世界ではすでにラスベガスやマカオなどが有名で成功をおさめています。その経済効果は高く、2009年に開業したシンガポールのカジノは、ギャンブル収益だけで年間5,900億円を超え、観光収入増加に大きく貢献しています。しかも、こうしたカジノ施設は、運営する企業以外にも幅広い分野にビジネスチャンスが及びます。たとえばカジノ施設設立に携わるゼネコンや、カジノゲーム機や紙幣機器などのメーカー、そしてホテルやレストラン、警備会社まで、カジノにより外国人観光客が安定的に増加することで多くの利益と雇用をもたらすことが期待されます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)