地域振興における重要な課題として、定住促進による人口増加があげられます。しかし定住を促進するには、雇用の場の確保が求められますので、定住対策と産業振興による雇用の創出とは表裏一体の関係にあります。

 これまでは、行政が公共事業や補助金などによって工業団地などの産業基盤を整備し、地域外から企業を誘致する外来型開発によって雇用を創出する方法が多く取られてきました。しかしグローバル化の進展に伴い企業の海外生産シフトが加速し、地方財政が逼迫する中では、企業誘致を行うのも容易ではありません。

 そこで、地域に定住して新たな産業を起こしてもらえるような、創業人材を誘致することで定住対策と産業振興を融合させるという取組が行われています。典型的な例としては、創業計画を地域内外より広く募集して、採択された人に対して定住によるプランの実現化を行うことを要件としつつ、そのための活動資金を行政が支援するというものです。とくに創業人材としては、若年世代のU・Iターン人材への期待が集まっています。

 こうした創業人材誘致の最大の効果は、創業計画の実現そのものがもたらす経済効果よりも、魅力ある人がU・Iターン者としてその地域に定住することで、地域に「人が人を呼ぶ好循環のサイクル」を創りだしていくことにあります。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)