郊外型大規模ショッピングセンターの出店加速化、海外の大手小売業の日本市場への進出、規制緩和に伴う多様な業態のディスカウントストアの急成長などといった流通状況の変化は、小零細小売業に経営苦境をもたらしました。こうした状況下、特に地方の商店街では、少子高齢化の進展などもあって商店の閉店などが起こり、「シャッター通り」と呼ばれる状態がみられるようになっています。

 2012年11月に中小企業庁が全国の商店街に対して実施した「商店街実態調査」によると、「繁栄している」と回答した商店街の割合はわずか1.0%となっています。また、商店街に占める空き店舗の比率は上昇傾向にあり、空き店舗が減らない理由としては、「商店街に活気がない」という回答が最も多くなっています。

 こうした中、2006年に都市計画法と中心市街地活性化法が改正された「改正まちづくり3法」の下では、これまでの郊外開発から中心市街地開発に方向転換がなされ、商店街において人口減少社会に向けたコンパクトで賑わい溢れるまちづくりが目指されるとともに、商店街とコミュニティビジネスとの融合が注目されるようになっています。

 コミュニティビジネスとは「中小企業白書(2004年版)」によると、①地域住民が主体、②利益の最大化を目的としない、③コミュニティの抱える課題や住民のニーズに応えるための財・サービスを提供、④地域住民の働く場所を提供、⑤継続的な事業または事業体、⑥行政から人的、資金的に独立した存在などを特徴としたものです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)