■まるで現代日本を書いた如きマキャベリ
ルネッサンス期のイタリアで、大活躍した戦略家ニョコロ・マキャヴェリが、書いた本が(邦訳)「君主論」や「政略論」である。非常痛烈だが、指摘は的確で現実的なものが多い。
“まるで現代日本を書いているよう”と思われる文章が多いから、抜き書きで紹介してみる。
●『一国のリーダーにとって、特に警戒しなければならないことは、軽蔑されたり、見くびられることだ。一般に決断力に欠けると、国民の間にもこの軽蔑心が芽生える』
自民党のある議員による総理への国会質問では、「カンさん」を連発していた。ときどき、特に噛み締めるように、「菅総理大臣」と呼んでいたが、皮肉にしか聞こえない。
どうしても総理が、“舐められている”としか、感じられなかった。
●脆弱な国家は、いつも優柔不断である。その上、決断に手間どることは、有害以外の何ものでもない。
尖閣諸島沖の海上保安庁巡視船への、中国漁船による意図的な、当て逃げ事件のビデオの公開に伴うモタモタと、ネット流出などは、このマキャヴェリの指摘を絵に描いたようだ。
●人間というものは、恩義という絆で結ばれていても、大きな利害がからめば、平然と断ち切ってしまうものである。
ロシア(メドベージェフ)を見るがいい。北方四島という利害がからめば、平気で実質支配を進めるではないか。恩義なんて無きがごとしである。
●譲歩に譲歩を重ねて、相手が満足することはない。それどころか、なおさら足元を見透かされ、相手はなお、より多くを奪ってやれ!と考えるようになる。
国会で質問に立った議員がずばり、マキャヴェリのこの言葉を持ち出し、政権の対中国への言動を指摘していた。その上で、「マキャヴェリ程度は、勉強しなさい」と言っていた。
●一国のリーダーたるもの、術策など弄せず公明正大に行動することがいいことは、百も承知している。承知の上で、正面攻略力を生かすと同時に、野獣の策(裏ワザ)を講ずることも重要で有益であることも、必要であることを知っておくべきだ。
「漁船衝突事件は刑事事件だから、ビデオという証拠を、事件の処理の途中で公開することはできなかった」と、官房長官が言っていた。この発言は、“狐と狸の化かしあい”という、国際社会の駆け引きを知らない人の発言である。
●一国の指導者は、一人であるべきである。指揮権が複数の人間に分散していることほど、有害無益なことはない。
どこかのお坊ちゃんが、「トロイカ体制(三頭立ての馬車)で、力を合わせよう」と言ったら、言われたほうも共感していたが、両者とも、まるで馬鹿みたい。
一国を治めるトップに関して、トロイカなんで、タワごとに過ぎない。
●重臣や側近から、優柔不断と思われたリーダーは、その地位が危うい。
いままさに、そんな政権の色を濃くしているのではないでしょうか?
●決断力のないリーダーは、中立に逃避し、やがて滅びる。
現政権の現状が、そっくりである。ああ、民主党政権も短命か?(最終的な総合判断は各自でどうぞ)