「地獄の訓練」を教育と思うは、錯覚もいいところ
●身を以て上司が教え育ててこそ・・
今もあるらしいが昔から「地獄の訓練」という売り物があった。
これに参加した福岡のある会社では、こんな結果である。
ある係長が社長室に、「山本、入ります」と、大きな声を出して入っていく。すると別の同僚が、「あのアホが、教えられたままやるんだから、どうしようもないよ」と突き放すように言った。言われた係長は、確かに真面目一辺倒なタイプだった。
いまこの会社では、「地獄の訓練」と言っても、「一体何の話だい」という調子であるらしい。
一時期、人材育成という熱病に侵された残滓として受け止められているみたいである。
ところで「教育」とは、上司が身を以て教え指導すること。外部に人の育成を委託するのは「訓練」と言う。この教育と訓練の定義もはっきりせず、「訓練を人材育成」と解釈するようでは人は人材を育てられない。
10年も前に、「地獄の訓練」に傾倒した会社で、「あれはよかった。あの訓練に派遣したお陰で本物の人材が育った。あの課長もこの部長も・・」と思っている会社はあるだろうか。
そういった点では、コクヨ(文具メーカー)の黒田元会長が言っていらした。
「経営者の方で、教育と訓練を混同しておられる人がいらっしゃる。上司や先輩が身を以て教え育ててこそ教育と言えるものを、外部に訓練を依存しては、人材育成の外注であり本当の人育ては出来ません・・」