偉人達の処世訓
●「何よりの敵は失望と落胆」・井上貞治郎(ダンボール開発者、聨合紙器の社長)
私は高等小学校の2年生を終えただけで世の中へ飛び出した。今の小学校6年生である。
「野中の一本杉」として世に出たのである。
大学を出ても、まず小僧っ子になって、何でもやっていく気概が欲しい。人生は努力である。突進である。時には少し向こう水であってもよろしい。そして、全てのもの、全ての仕事に親切を尽くすことが、世の中を渡る最高の道徳と心得ねばならぬ。
私は誰にでも、人生の敵は「失望」と「落胆」と答えている。
しかし、「失望」を「希望」に、「落胆」を「奮起」に、立て直すのが、唯一の戦法であって、加えて長期戦の覚悟が必要である。
●「たわむれの世」・福沢諭吉(慶應義塾創立者)
鋭敏なる才子よりも、根気強き勉強家こそ、頼もしき世の中なり。
正直一遍は必ずしも美徳と言うべきにあらず。シャチホコ立ちは芸にあらず。
児戯百端、たわむれ去り、たわむれ来たる。ただそのたわむれの過度を制することこそ、智者のことなり。
自由平等とは、自らの権利を重んずると共に、他者の権利をも重んずるにあり。
いやしくも、人にして技量を試みる機会あらんには、これを空しゅうせずして功名を表すべし。遠慮は損慮。ただし、爪の小出しを心がくべし。
人事万端、表ありて裏なきものなし。裏に回らずとも、裏面あるを忘るべからず。
人生「そうはいかん」ことばかり。また「そうは言っても」、困ることばかり。
福沢は、「馬鹿正直は決していいことではない」と言っている。死人を出した家人の前では葬式の話はせず。自分のことは語らず相手のことを語ること。
人を褒めるときは、真面目に真剣に褒める。しかし、何よりも褒めようと思うこと。
また、「人事は裏があるもの」と言う。たとえ、裏がなくとも裏面はあるとも言う。