「もう定年になったから、本代はかかりませんよ」と、堂々と言った人がいる。びっくりした。定年になったから、活字には触れなくていい、という意味らしい。技術系の人だったが、定年と同時に離婚した人だから、ナルホドと思った。

 一方、年をとっても相変わらず書店に寄るし、寄らないと何か忘れ物をしているようで気にかかる人もいると聞く。

 ある人の、どうやって書籍購入費(自己投資費)を決めたのか、というエピソードが面白い。若い頃、ある日、ラジオを聞いていた。こんな内容だったそうだ。

 「日本では中小企業の場合、広告宣伝費は総売上の3%で・・・」

この話を聞いて、思った。

 「僕は、自分の価値を高めるために、総所得の3%を自己投資費に使おう」と。

こうやって半世紀が過ぎた。

その結果、彼は、「師育型マネージャー」(※)にも近づいたようである。(※平成285月号参照)

 

 むかし、旧日劇の支配人だった丸尾長顕氏は、ダンサーに対しても、「毎日4回食事をしなさい、1回は読書という食事を」という指導をしていた。

 新しく出る本というのは、時代を反映している。

 だから6カ月本を読まないと、6カ月間時流に遅れることになる。

 遅れがイヤなら読書を怠らないことだ。