■相続人は借金も負担?
相続人は、お亡くなりになった方(被相続人)の財産 (不動産、預貯金など)を取得するだけでなく、債務 (銀行借入金、クレジットロ ーンなど)も負担することになります。
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の一切の権利義務を承継する(民法896条抜粋)」
このようなケースには、「相続の放棄」をすれば、債務を負担しなくても済みます。


■相続の放棄の特徴は?
 ただし、「相続の放棄」は、「債務」を負担しなくて良い反面、「財産」も取得することができなくなります(別途、遺言により取得することは可能です。)。
 これは、相続の放棄をした人は、はじめから相続人でなかったものとして取り扱われるため、財産の分配の話し合い(分割協議)にも参加することができません。


■相続の放棄をする原因は?
「債務を引き継ぎたくない」「相続のもめ事には関わりたくない」「生前に贈与を受けているので相続は放棄する」などといったケースに有効です。


■放棄しても取得可能な財産がある?
死亡保険金や死亡退職金は上記の放棄する財産とは別個の財産(受取人固有の財産)であるため、相続の放棄をしても、死亡保険金等は受け取ることができます。
なお、放棄した相続人が取得した死亡保険金等については、相続税の計算上、非課税の優遇規定(500万円×法定相続人の数)を受けることができません。


■放棄の手続は原則3ヶ月以内
 被相続人の死亡を知った時から原則3ヶ月以内に家庭裁判所に手続をしなければなりません。
 一方、東日本大震災により大震災の被災者に対しては、相続を放棄するかどうかの判断期間を2011年11月30日まで延長できるとする特例法が施行されました。
 2010年12月11日以後に相続の開始があったことを知った人が対象となります。
 相続を承認するか放棄するかの判断期間を延長する特例が措置された背景には、被災されたご遺族が、3ヶ月以内で相続の放棄を行うのは非常に困難な状況であることが挙げられます。



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(まつうら税理士事務所)