一般的に正しいと思われている知識も
本質で考えると実はあまり正しくない
ということはよくあります。
例えば、会社の経営指標のひとつである
「在庫回転率」の計算式は「売上高÷在庫金額」で
紹介されることが多いのですが、この計算式も
経営の実態で考えると本質的には正しくありません。
そもそも「在庫回転率」というのは
「一定期間で在庫を何回販売したか」を示す指標で、
在庫が6個の商品を年間で24個販売した場合、
「年間の在庫回転率は4回転」といった使い方をします。
ちなみに回転率で12を割ると、在庫の保有期間の平均が計算できます。
(12÷4回転=3月→在庫の保有期間は平均3月)
一般的に、回転率が高いと好ましい(頻繁に売れていて、在庫の保有期間も短い)
と、されています。
「在庫回転率」は、実務上は決算書の金額を用いて計算することになりますが
ここからが問題になります。
例えば先程の「在庫6個、販売24個」で考える場合、
在庫の原価が100円、売価が200円だとすると、
在庫金額が600円、売上高は4800円となり、
一般的な計算式である「売上高÷在庫金額」で計算すると
「在庫回転率は8回」となってしまいます。
数量の計算に比べて2倍の数値と、かなり大きな開きがあります。
これは「分子=売価、分母=原価」と異なる値で計算したことが原因で
粗利率の分(粗利率50%→回転数2倍)だけズレが発生することになります。
つまり、実態よりも指標が良く見えてしまうので
経営判断を誤る可能性が出てきます。
こうしたズレを抑えたいなら「売上原価÷在庫金額」で計算する方が
おすすめです。事例の場合、在庫金額600円、売上原価2400円なので
「在庫回転率は4回」となり、数量の計算と一致します。
あまり有名な算式ではありませんが、本質で考えるとこちらの方が正しいので、
地道にお客様にお伝えしていきたいと思います。