【 年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 1 】
投稿日:2010年09月03日金曜日 10時24分01秒
投稿者:税理士 溝江 諭 KSC会計事務所 カテゴリー: General
札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
本サイト(http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=72)において、2010年7月9日、≪年金型生保、相続税と所得税の二重課税は違法・・還付請求の方法は?≫として、7月6日の最高裁の判決内容を簡単に解説し、還付請求の方法を説明しましたが、その後この事件について勉強を進めるうちに、これは本当に二重課税の問題なのかという疑念がだんだん強くなって来ました。
以下の論文は、その後の勉強に基づき書き上げたもので、恩師の「定年退職記念論文集」に掲載するものの一部です。論文のため、硬い文章になっていますが、ご了承ください。
これから、3回に渡って連載します。
「長崎、年金払特約付き生命保険で違法な二重課税、最高裁判決の問題点」
2010年8月25日 税理士 溝江 諭
1 二重課税への疑問
長崎市の主婦(49歳)が原告となって起こした裁判で、平成22(2010)年7月6日、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)が画期的な判決(以下、「本件判決」という。)を下したと話題となった。年金払特約が付された生命保険契約に基づく年金をめぐり、国の行った処分は相続税と所得税の二重課税にあたり違法であるとされたためである。
この事件についてのこれまでの経緯は次のようになっている。
(1) 福岡国税不服審判所(注1) 平成17(2005)年 2月22日 納税者の負け
(2) 長崎地方裁判所(注2) 平成18(2006)年11月 7日 納税者の勝ち
(3) 福岡高等裁判所(注3) 平成19(2007)年10月25日 納税者の負け
(4) 最高裁判所(注4) 平成22(2010)年 7月 6日 納税者の勝ち
最高裁の判決文では、「二重課税の問題か、なるほど。」と思ったものの、高裁、地裁の判決文、さらには裁決文も含めて読み返しているうちに「はたして、これは二重課税の問題なのか」という疑問が湧き上がってきた。なぜなら、ここで争われた「年金」は、年金と呼ばれてはいるが、公的年金等とは明らかに性質が違う。それでは、本件で問題となった「年金」の本質とは何だったのか。それは、本来「一時金で支払うべき生命保険金」を契約者の希望により「分割払い」とした、単なる「年賦金」ではないのか。それならば、二重課税の問題とはならず、今後への影響範囲も二重課税を根拠とした本件判決に比べ、かなり限定されたものとなるはずであった。そこで、本論文では、本件についての原告の訴えや生命保険契約の内容、最高裁の判決などを整理、概観した上で、本件判決の問題点を3点に絞りその検討を行うとともに、本件判決が二重課税を根拠としたことによる、税制や行政に及ぼす影響範囲の拡大についても若干の検討を試みたい。
2 本件の訴えの内容
3 本件の生命保険契約の内容
4 原告が取得した権利と金銭
5 これまでの課税関係
6 最高裁の判決
7 本件判決についての課税関係からの整理
8 最高裁判決の問題点
(1) 本件各年金の元本部分は非課税所得ではなく、分割払い金ではないか。
以下詳細については、次のサイトの「ブログ・コラム」に掲載の
2010.8.25 ≪年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 1 ≫
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=73
をご覧ください。
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Tel 011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
税務会計論演習担当(大学院)
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以下の論文は、その後の勉強に基づき書き上げたもので、恩師の「定年退職記念論文集」に掲載するものの一部です。論文のため、硬い文章になっていますが、ご了承ください。
これから、3回に渡って連載します。
「長崎、年金払特約付き生命保険で違法な二重課税、最高裁判決の問題点」
2010年8月25日 税理士 溝江 諭
1 二重課税への疑問
長崎市の主婦(49歳)が原告となって起こした裁判で、平成22(2010)年7月6日、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)が画期的な判決(以下、「本件判決」という。)を下したと話題となった。年金払特約が付された生命保険契約に基づく年金をめぐり、国の行った処分は相続税と所得税の二重課税にあたり違法であるとされたためである。
この事件についてのこれまでの経緯は次のようになっている。
(1) 福岡国税不服審判所(注1) 平成17(2005)年 2月22日 納税者の負け
(2) 長崎地方裁判所(注2) 平成18(2006)年11月 7日 納税者の勝ち
(3) 福岡高等裁判所(注3) 平成19(2007)年10月25日 納税者の負け
(4) 最高裁判所(注4) 平成22(2010)年 7月 6日 納税者の勝ち
最高裁の判決文では、「二重課税の問題か、なるほど。」と思ったものの、高裁、地裁の判決文、さらには裁決文も含めて読み返しているうちに「はたして、これは二重課税の問題なのか」という疑問が湧き上がってきた。なぜなら、ここで争われた「年金」は、年金と呼ばれてはいるが、公的年金等とは明らかに性質が違う。それでは、本件で問題となった「年金」の本質とは何だったのか。それは、本来「一時金で支払うべき生命保険金」を契約者の希望により「分割払い」とした、単なる「年賦金」ではないのか。それならば、二重課税の問題とはならず、今後への影響範囲も二重課税を根拠とした本件判決に比べ、かなり限定されたものとなるはずであった。そこで、本論文では、本件についての原告の訴えや生命保険契約の内容、最高裁の判決などを整理、概観した上で、本件判決の問題点を3点に絞りその検討を行うとともに、本件判決が二重課税を根拠としたことによる、税制や行政に及ぼす影響範囲の拡大についても若干の検討を試みたい。
2 本件の訴えの内容
3 本件の生命保険契約の内容
4 原告が取得した権利と金銭
5 これまでの課税関係
6 最高裁の判決
7 本件判決についての課税関係からの整理
8 最高裁判決の問題点
(1) 本件各年金の元本部分は非課税所得ではなく、分割払い金ではないか。
以下詳細については、次のサイトの「ブログ・コラム」に掲載の
2010.8.25 ≪年金型生命保険の二重課税、最高裁判決の問題点 1 ≫
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