【確定申告で、株式・投資信託の売却損・配当金の税金を取り戻そう!平成23年度の確定申告】
いよいよ、確定申告の時期が近づいてまいりました。
人知れず、焦っておられる方もいらっしゃることでしょう。
今回は、株式や投資信託、配当に関する課税と申告について、平成23年度税制改正分も交えてお伝えしたいと思います。
今までは年末調整ですべて終わっていたサラリーマンの方も、「今年こそは申告して税金を取り戻してみよう!」と意気込んでおられる方も、
今回は必見!儲けた人も、残念ながら損した人も、ためになる情報満載です!
さて前回のブログでも触れましたが、サラリーマンで給料をもらっている人や
年金生活者の人で、給料や公的年金等以外の収入が20万を超えてしまう人は確定申告が必要となります。
ただ、申告することにより、株式を売却などして出た利益を少なくしたり、また損失を利用して節税することもできるのです!
通常、上場株式や投資信託(一部を除く)を売って儲けが出たときは、「譲渡所得」となり、申告書の第3表を使って申告します。
これは給与や配当金などの所得とは切り離して決まった税率で課税される「申告分離課税」用の表となっており、
今のところ、税率は時限措置として10%(所得税7%、住民税3%)が適用されています。
また、金融商品の税率は全て一緒ではなく、金融商品ごとに課税方法は異なっています。
大きくは、先ほど説明した「分離課税」か、「総合課税」かに分類されます。
「分離課税」も、利益が出た段階で既に徴収されている「源泉分離課税」と、確定申告することにより税金を納めることになる「申告分離課税」とに更に分けられます。
株式の配当金や投資信託の分配金などは「源泉分離課税」、
株式や投資信託、Jリートなどの売却益は「申告分離課税」になります。
源泉分離課税は、既に差し引かれているので、原則として確定申告は不要とはなっていますが敢えて申告することにより、納めた税金を取り戻すこともできます!
申告の仕方は2通りあり、 一律10%の「申告分離課税」と、税率15~50%になる「総合課税」とを選択できます。
申告分離課税を選択すると、株式や投信で売却損が出ていた場合、その損失と通算できます。
分かりやすくするために例を挙げましょう。
ここでは話を平易に進めるため、特定口座・源泉徴収ありを選択していることを前提条件とします。
平成23年度は株式の配当金が40万円あったMさん。株式の損失は80万円でした。
配当金の40万円と譲渡損の80万円を通算すると、差し引き△40万円の損が残ることになります。
この場合、「申告分離課税」を選んで申告すると、税率は一律10%なので、
400,000×10%=40,000円を取り戻すことができます。
更に、△40万円の損失を申告することで繰り越すこともできます。
繰越損失は3年間繰り越せますが、繰越す間は、他に所得がなくても申告書を必ず提出する事が必要になります。1年でも失念すると、損失の繰越が失効してしまいます。
「総合課税」でも同様に損益の通算ができますが、
給与収入がある人や、事業を営んでいるなら事業所得など、他の所得と合算して課税されることになるので、
税率が高い人になると最高で50%に達してしまう可能性もでてきます。
現状の軽減税率が10%であることを考えると、
仮に株式の配当金を申告するのに総合課税を選択するなら、所得税の税率が10%以下の人でないと、お得にならない計算になりますね。
また、Mさんが専業主婦など誰かの扶養に入っている状態の人である場合、
申告する所得が年間38万円を超えると扶養から外れてしまうので、そこは要注意ですね!
扶養控除枠38万円の判定ラインが確定申告書のどの欄に相当するのかを理解しておき、
また申告の方法も賢く選ばないと、
たった1万の控除を受けるために扶養から外れてしまい増税になってしまった…
こんな本末転倒なことにもなりかねません。
上の例だと、全て申告分離課税を選択し損益通算するなら、
平成23年度中の所得は(配当金40万-譲渡損80万)=△40万円となり、所得はゼロとなります。
但し、株式の配当金だけを「総合課税」で選択してしまうと、
課税所得40万円となり、扶養控除の枠38万円を超えてしまいます。
これがなぜだか分かりますか?
扶養控除枠は、確定申告書の「所得金額の合計」欄(「所得から差し引かれる金額」の上の欄)
に書かれてある金額で判定するからです。
更に、繰越損失から配当金や株式売却益を通算する場合も、要注意!
上の例で△40万円の損失を繰越したとします。
その翌年の確定申告で、繰り越した△40万円と、翌年分の株式の売却益40万円を通算して申告してしまうと、
扶養控除枠から外れてしまいアウトです。
なぜなら、扶養の判定で見る課税所得は、繰越損失と通算する前の課税所得金額になるからです。
この場合だと、40万円が課税所得となります。
間違えやすい箇所なので、気をつけたいところですね。
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