皆様は、「役員」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かばれるでしょうか?

独立した社長室の中にある、革張りのソファに座って専用電話を使いバリバリ仕事をしている華やかなイメージを抱かれる方もいらっしゃることでしょう。

ひとくちに「役員」といっても、いわゆる世間で普通に考えられている「会社役員」ももちろんですが、「みなし役員」、「使用人兼務役員」も範疇に入ってきます。

税務上の役員の範囲は、取締役や監査役、会計参与、理事などの会社法上の役員よりも”範囲が広い”ことになるのです。

役員ともなれば、社員と違い、取り決めや実態によっては税法上不利な取扱いを受ける可能性もあります。

今回は役員にとって最も注目される、「役員報酬」の基本的なことについてお伝えいたします。

さて、税法の世界では、役員に対する「給与」と「賞与」まとめて「役員報酬」とされます。

※給与には、役員が起こした反則金の肩代わりや、商品の低額譲渡、無利子or相場より低い金利で役員に貸付けた、などの「経済的利益」も含まれます。

この、まとめた金額で、経費として認められるかorそうでないか、を判断します。

以下1.~3.の内容に該当する役員報酬については、経費として認められます。

定期同額給与・・・・・・「支給時期が1ヶ月以下」で、「一定期間ごと」である給与で、その事業年度内の各支給時期における支給額が同額であるものを指します。 これには、以下のものが含まれます。

①同一事業年度内で、一定期間ごとに「すべて同額」の場合

②3ヶ月以内(=当事業年度開始の日の属する会計期間の3ヶ月を経過した日まで)に、役員報酬が改定された場合→定時株主総会で役員報酬を改定されたりする場合に該当します

③役員報酬の改定が、臨時改定事由による場合(改定前は前で同額、改定後は後で同額)

④役員報酬の改定が、業績悪化事由によって「減額」改定される場合(改定前は前で同額、改定後は後で同額)

⑤毎月おおむねで一定で供与される経済的利益(毎月ほぼ一定で供与されることがポイントです。一定でない場合は、定期同額給与とはみなされず、役員賞与となり経費として認められません)

「臨時改定事由」とは、役員の職制上の地位変更や不祥事を起こした役員の給与を一定期間にわたって減額する場合、などに相当します。但し、経営体制の見直しによる人事刷新は含まれません。

また、「業績悪化事由」にも厳しい要件が定められてます。

「経営状況の著しい悪化」や、「第3者との利害関係の都合上やむを得ず減額せざるを得ない状態を指します。なので、一時的な資金繰りが悪化した場合などは該当しません。

事前確定届出給与・・・・・その名の通り、事前に支給額を「確定」し、税務署に「届出」した役員賞与を指します。

”確定額”なので、支給額が変動するもの、例えば支給額の上限を定めたもの(=支給金額はXXXX円以内)などは含まれません。また、「XX年XX月」に支給するなど、支給年月も定める必要があり、当然ながら届出にも期限が設けられています。

税務署に届け出た金額と実際の支給額が違う場合には、支給した金額全てが経費としては認められません。

  利益連動給与・・・・・・同族会社に該当しない法人が業務を執行する役員に対して支給する、「利益に関する指標」を基礎として算定される給与を指します。

但し、利益連動給与については原則として上場会社等しか導入できず、相当の制約が付されていますので、

こちらを経費に算入できる役員報酬として使える会社は限られてくると思われます。 中川会計ではお客様にとって常に有用な情報提供を心がけております。

今回の役員報酬についても、取り扱い方など間違えると税務調査で想定外の追徴を受けたりしますので、

気になる方はお早めにご相談いただければと思います。

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