【会計基準も、どんどん国際化へ!過年度遡及会計基準と、税務対応】
ひとところ、IFRS(国際財務報告基準)導入云々のニュースが紙面を賑わしていたことを
覚えていらっしゃいますか?
金融庁の自見庄三郎担当大臣が、IFRS強制適用の延期を指示してからは、
すっかり鳴りを潜めているといった感じですが・・・
しかしながら我が国の会計基準も国際標準に近づくために、少しずつ、徐々にですが変わってきています。
そのひとつ、平成23年4月1日以後開始事業年度より、「過年度遡及会計基準」が導入されました。
これは、決算が終わり申告したあとの経理処理で間違いが発覚した場合、その間違いを訂正する際に、
「前期損益修正損」などを計上することなく、貸借対照表や株主資本等変動計算書などに直接反映させる取扱いを示したものです。
今回はこの内容について、詳しくお話したいと思います。
この「過年度遡及会計基準」、難しく思われるかもしれませんが、財務書類の表記が変わる内容でもあり、経営者にとっては気になるところではないでしょうか。
過年度遡及会計基準は、正式には「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」といいます。
この会計基準導入の影響で、税務上の過年度遡及に係る修正内容を記載した書類を、申告書類に添付することとなりました。 結果的に「過年度修正」で、貸借対照表の純資産額に影響を及ぼすのは、次の4つ、
1.会計方針の変更
2.表示方法の変更
3.会計上の見積もりの変更
4.過去の誤謬(ごびゅう)の訂正
のうち、1.または4.の変更等を行った場合に該当します。
(3.については、過去に遡及せず、将来に向かっての修正になります。2.については税務上の影響は少ないとされているので、ここでは割愛します)
1.には、具体的には「棚卸資産の評価方法の変更」や、売上の計上基準の変更などが該当します。
たとえば商品を販売する会社なら、決算時に棚卸が行われるのが通常ですが、その際、商品の「単価」をどのように考えますか?
たとえば、仕入れたときの「取得価格」で、先に仕入れたものから売上げたと考える方法で棚卸商品を評価することに決め、税務署にも届け出て処理を行っているとします。
来年度から、(同じ種類ごとに、その事業年度終了の時から)最も近い時に仕入れた商品の単価により評価する方法に変更したとすると、それは、「棚卸資産の評価方法の変更」となり、①の「会計処理の変更」に該当するのです。
この場合、変更後の棚卸資産の評価方法に則り、過去の全ての期間に遡って適用していたかのように、株主資本等変動計算書にて調整を行い、貸借対照表に反映させます。
では、比較的起こりえると思われる、4.についてはどうなのでしょうか?
4.は、過年度の「売上計上もれ」の発見や、税務調査で指摘された税額計算の誤り、などが該当します。
決算が終わったあとで、ひょっこり出てきた売上伝票の束・・・どう処理しましょう?
今までは、「前期損益修正益」という科目を使い、損益計算書の特別損益の部に盛り込むことができましたが
今回の基準では、この科目は使えなくなります。
①と同様、株主資本等変動計算書にて調整を行い、貸借対照表上で反映させますが、この場合は「修正再表示」となりますので、法人税法で規定するところの「修正の経理」として認められます。
(具体的な内容は複雑になるので、ここでは割愛します)
各事業年度の確定申告は、「確定した」計算書類に基づいて、作成のうえで提出されており、過年度遡及会計基準を適用した場合であっても、過去の税務申告までは影響は受けません。
ただ、過去の遡及処理による累積的影響額を当期の「期首残高」に反映した場合、前期末の「期末残高」とはどうしても不整合が生じますので、そのための調整は必要となります。
覚えていらっしゃいますか?
金融庁の自見庄三郎担当大臣が、IFRS強制適用の延期を指示してからは、
すっかり鳴りを潜めているといった感じですが・・・
しかしながら我が国の会計基準も国際標準に近づくために、少しずつ、徐々にですが変わってきています。
そのひとつ、平成23年4月1日以後開始事業年度より、「過年度遡及会計基準」が導入されました。
これは、決算が終わり申告したあとの経理処理で間違いが発覚した場合、その間違いを訂正する際に、
「前期損益修正損」などを計上することなく、貸借対照表や株主資本等変動計算書などに直接反映させる取扱いを示したものです。
今回はこの内容について、詳しくお話したいと思います。
この「過年度遡及会計基準」、難しく思われるかもしれませんが、財務書類の表記が変わる内容でもあり、経営者にとっては気になるところではないでしょうか。
過年度遡及会計基準は、正式には「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」といいます。
この会計基準導入の影響で、税務上の過年度遡及に係る修正内容を記載した書類を、申告書類に添付することとなりました。 結果的に「過年度修正」で、貸借対照表の純資産額に影響を及ぼすのは、次の4つ、
1.会計方針の変更
2.表示方法の変更
3.会計上の見積もりの変更
4.過去の誤謬(ごびゅう)の訂正
のうち、1.または4.の変更等を行った場合に該当します。
(3.については、過去に遡及せず、将来に向かっての修正になります。2.については税務上の影響は少ないとされているので、ここでは割愛します)
1.には、具体的には「棚卸資産の評価方法の変更」や、売上の計上基準の変更などが該当します。
たとえば商品を販売する会社なら、決算時に棚卸が行われるのが通常ですが、その際、商品の「単価」をどのように考えますか?
たとえば、仕入れたときの「取得価格」で、先に仕入れたものから売上げたと考える方法で棚卸商品を評価することに決め、税務署にも届け出て処理を行っているとします。
来年度から、(同じ種類ごとに、その事業年度終了の時から)最も近い時に仕入れた商品の単価により評価する方法に変更したとすると、それは、「棚卸資産の評価方法の変更」となり、①の「会計処理の変更」に該当するのです。
この場合、変更後の棚卸資産の評価方法に則り、過去の全ての期間に遡って適用していたかのように、株主資本等変動計算書にて調整を行い、貸借対照表に反映させます。
では、比較的起こりえると思われる、4.についてはどうなのでしょうか?
4.は、過年度の「売上計上もれ」の発見や、税務調査で指摘された税額計算の誤り、などが該当します。
決算が終わったあとで、ひょっこり出てきた売上伝票の束・・・どう処理しましょう?
今までは、「前期損益修正益」という科目を使い、損益計算書の特別損益の部に盛り込むことができましたが
今回の基準では、この科目は使えなくなります。
①と同様、株主資本等変動計算書にて調整を行い、貸借対照表上で反映させますが、この場合は「修正再表示」となりますので、法人税法で規定するところの「修正の経理」として認められます。
(具体的な内容は複雑になるので、ここでは割愛します)
各事業年度の確定申告は、「確定した」計算書類に基づいて、作成のうえで提出されており、過年度遡及会計基準を適用した場合であっても、過去の税務申告までは影響は受けません。
ただ、過去の遡及処理による累積的影響額を当期の「期首残高」に反映した場合、前期末の「期末残高」とはどうしても不整合が生じますので、そのための調整は必要となります。