税制改正の案の合意が、報道よると下記のようなものでなされそうだという。
①所得税の最高税率を40%から45%へと引き上げ
②相続税の最高税率を50%から55%へと引き上げるとともに、基礎控除を5千万から3千万へと引き下げ
③贈与税について祖父母から孫への教育に関する15百万までの贈与を非課税とする
④住宅ロ-ンに関する税額控除で、住民税の部分を4割増加。所得税は最高額を50万円に引き上げ
所得税の最高税率を適用する所得の範囲は3千万か5千万ということで一致はしていないようである、とともに、相続税の最高税率についても適用範囲を3億にするかどうかで決定はしていないようだ。いずれも最高税率が適用される者は万単位の一握りの者にすぎないとされるので、逆進性の高い消費税増税の影響緩和にはほど遠いいと行ってよいだろう。言葉を代えれば、今回の税制改正については、税制による富や所得の不平等を是正する効果はほとんどなく、二極化防止に役立たない、といったことは間違いなく言えるに違いない。
日本はわずか十数年前までは、一億総中流という意識があり、それは統計上も明らかにされていた。所得の不平等度を測るジニ計数も低く、何かある場合に国民の連帯感を醸し出しやすい状況にあった。規制緩和で経済の活性化を図る必要性とそれに基づく手当、ともに実施されてはじめて政策としての有意味性がでてくるはずの規制緩和。目指すのは、アメリカ型かEU型か、そろそろ、米国型よりEU型という方向性に舵を切る時期できないだろうか。そのために、税制改正においても、二極化をより志向しない改正にしてほしいと、思料している。