25年度税制改正大綱案を読んで
1.概要 逆進性の高い消費税増税や相続税の課税範囲を広げるといつた案がでる一方で高額所得者あるいは、富裕層増税が行われます。法人税に関しては、前年に引き続き減税措置が講じられています。主だったものだけ簡単に内容をみていくことにしましょう。
2.相続税について 基礎控除が3千万円プラス6百万×法定相続人の数となった。6億円を超える相続財産については、最高税率が55%へと引き上げられました。
贈与税に関しては、祖父母が孫に贈与する教育資金については1500万円まで非課税措置が講じられました。
3.所得税について 課税所得4千万円を超える部分について最高税率が50%に引き上げられた。減税措置としては、住宅ロ-ン税額控除が所得税・住民税ともに拡充されました。
4.法人税について 雇用や給与総額が増えた場合に一定の税額控除が行われることになりました。交際費についても定額控除限度額が2百万増え、800万円になりました。
5.消費税について 軽減税率が導入されることとなった。消費税率アップの影響を多く受ける低額所得者に対する戻し減税は行われないようです。
『感想あるいは注意すべき点』
①ほぼ従来から議論されていたような内容に落ち着いたこと
②法人税減税で景気刺激を図っていること及び贈与税の非課税措置でその他の増税の効果を減殺させるような結果になるだろうこと。
③相続税における資産格差是正効果は限定的にすぎず、課税対象が広がることにより、どちらかという大衆課税の色彩を帯びた相続税改正となったこと。
④相続税の課税対象となりそうな者や消費税増税の影響を受ける事業については、なんらかの対策が必要になりそうであること。
税のもつ所得・資産配分機能の回復という点を主張していた前政権より、規制緩和にもとづく財源確保を広く薄くという側面が重視されていると言ってよいでしよう。それは戻し減税がおこなわれないことや相続税の課税最低限の引き下げなどからしても間違いなく、景気対策の裏での財源確保の方法論に問題ありと非才な私は思います