改正された減価償却の償却方法についての考え方(1)

 平成19年度税制改正で減価償却制度が大きく変
わりました。改正法令等を見ると当初考えていた
よりも大きな改正のようで、専門家や実務家の間
でも法令解釈や対策等について話題に上ることが
増えてきました。

 特に今回改正では残存価額、償却限度額という
概念が無くなりました。これは、平成19年4月1
日以降に取得した償却資産について、毎年損金に
できる償却費の額が上がることを意味します。

 減価償却の方法として定額法を採用している場
合、おおよそ毎年償却できる費用が約1割上がり
ます。1割ですから、かなり大きな額の資産を購
入しなければ大した影響は出ないでしょう。

■定額法の計算例
期首に耐用年数6年の償却資産を100万円で取得し
た場合
<改正前>
取得額100万円×0.9×償却率16.6%=毎年の償却
額14万9400円
※0.9=(1?残存割合0.1)
<改正後>
取得額100万円×償却率16.7%=毎年の償却額16万
7000円

 しかし、定率法を採用している場合は影響額が
大きくなります。定率法は減価償却資産の帳簿価
額に一定率(償却率)をかけて償却額を算出する
方式で、設備取得直後の償却額が大きくなるのが
特徴です。

■定率法の計算例
期首に耐用年数6年の償却資産を100万円で取得し
た場合
<改正前>
取得額100万円×償却率31.9%=1年目の償却額3
1万9000円
<改正後>
取得額100万円×償却率41.7%=1年目の償却額4
1万7000円