資本に関係する取引等に係る税制の整備(法人税)
投稿日:2010年05月10日月曜日 17時10分37秒
投稿者:走る税理士 志村 賢一 カテゴリー: 法人税
Ⅱ 資本に関係する取引等に係る税制の整備(法人税)
企業グループを対象とした法制度や会計制度が定着しつつある中、税制においても持株会社制のような法人の組織形態の多様化に対応するとともに、課税の中立性や公平性等を確保する必要が生じていることから、資本に関係する取引等に係る税制の見直しが行われました。
【見直し事項】
① 100%グループ内の法人間の譲渡取引の損益の繰延べ
完全支配関係がある法人間
H22.10.01以後に行う譲渡損益調整資産(法法61の13①)の譲渡に適用
② 100%グループ内の法人間の寄附
H22.10.01以後に支出する寄付金に適用
内国法人がその内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関に限る)係がある場合に適用
③ 100%グループ内の法人間の現物分配
H22.10.01以後に行う現物分配に適用
④ 100%グループ内の法人からの受取配当の益金不算入(負債利子控除)
H22.04.01以後開始事業年度から適用
⑤ 100%グループ内の法人株式の発行法人への譲渡に係る損益)
⑥ 大法人の100%子法人に対する中小企業向け特例措置の適用の見直し
H22.04.01以後開始事業年度から適用
⑦ 連結子法人の連結開始前欠損金の持込制限の見直し
⑧ 連結納税制度の整備
⑨ 清算所得課税
H22.10.01から
H22.10.01までに解散登記している法人は旧法
Ⅲグル-プ法人税制
従来からの法人単位の課税(単体課税)とは別に、完全支配関係のある法人を一グループとして、一グループを一法人と捉えて課税する制度です。
適用対象法人
① 全支配関係とは(法2十二の七の六、令4の2②)
一の者が法人の発行済み株式等の全部を直接もしくは間接に保有する関係として一定で定める関係(当時者間の完全支配関係)または一の者との間に完全支配関係がある法人相互の関係をいう。
「一定で定める関係」とは、
②発行済株式等の全部保有の適用除外(法令4の2カッコ書)
上記①に揚げる発行済株式等は、その総額のうちに次に揚げる株式の数を合計した数の占める割合が5%に満たない場合のその株式を除く
(イ)従業員持ち株会の所有
(ロ)ストックオプションにより取得された株式(その法人の役員使用人の所有に限る)
③特殊関係がある個人の範囲(法令4①)
(イ)株主等の親族
(ロ)株主等と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(ハ)株主等あ(個人に限る。(ニ)に同じ)
(ニ)上記(イ)から(ハ)に揚げる以外の者で株主等から受ける金銭等で生計を維持する者
(ホ)上記(イ)から(ニ)に揚げる者と生計を一にする親族
1.100%グル-プ内の内国法人間の資産の譲渡取引等
グル-プ内の一定の資産の移転により生ずる譲渡損益を、その資産をグル-プ外への移転の時に、その当初の移転を行った法人において計上する。
2.100%グル-プ内法人間の寄付金・受贈益の損金・益金不算入
(例)グル-プ内で無利息貸付を行った場合
4.受取配当金の益金不算入制度における負債利子控除
負債利子を、全額益金不算入控除せず、全額益金不算入となる。
H22.04.01以後開始事業年度から適用(新法法23②)
6.大法人の100%子法人への中小企業向け特例措置の適用の見直し
大法人の100%子法人である中小法人は、それ以外の中小法人と資金調達 能力など経営実態が異なることから、中小企業向け特例措置(資本金の額が1億円以下の法人に係る次の制度)については、資本金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人には適用できなきなります。
H22.04.01以後開始事業年度から適用
(中小企業向け特例措置)
軽減税率
特定同族会社の特別税率の不適用
貸倒引当金の法定繰入率
交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
欠損金の繰戻しによる還付制度
9.清算所得課税の廃止
清算所得課税が廃止され、通常の所得課税に移行される。