7.0 相続時精算課税
投稿日:2010年02月04日木曜日 20時59分37秒
投稿者:走る税理士 志村 賢一 カテゴリー: 贈与税
7.0 相続時精算課税
7.1 相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度とは、生前贈与について受贈者の選択により、従来の暦年課税制度(年間110万円の基礎控除額の利用)に替えて、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その後の贈与者の相続時にその贈与財産と相続財産との合計した金額を元に計算した相続税額から、贈与時に支払った贈与税を控除することにより贈与税と相続税を通算した納税をする制度です。
この制度を選択すると生前の贈与に対して2,500万円の贈与税の非課税枠が与えられます
7.2 適用対象者
①贈与者は贈与をした年の1月1日で65歳以上の親
②受贈者は贈与をした年の1月1日で20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含みます
7.3 適用手続
相続時精算課税を受ける場合には、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に納税地の所轄税務署に次の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。この届出により、相続時までこの制度が継続されるので注意が必要です。
① 「相続時精算課税制度選択届出書」
② 受贈者の戸籍謄本若しくは抄本又は戸籍の附表の写し、住民票の写しその他
7.4 贈与税額の計算
贈与財産の合計額から2,500万円を控除した後の金額に(この特別控除は1度に受けても何年かに分けて受けてもかまいません。)20%の税率をかけて計算します。
(1) 贈与額の累計が非課税枠以内の場合(2,000万円贈与した場合)
贈与金額 非課税金額 納付税額
2,000万円 - 2,000万円 = 0円
(2) 贈与額の累計が非課税枠を超える場合(2,000万円贈与した後の年に1,000万円を贈与した場合)
贈与金額 非課税金額 納付税額
1,000万円 - (2,500万円) 1,000万円-500万円=500万円
(過年度に -2,000万円) = 500万円×20%=100万円
2,000万円) 500万円
7.5 相続時精算課税の特徴
① 特別控除は1度に受けても何年かに分けて受けてもかまいません。
② つまり、このように相続時精算課税は贈与税・相続税を通じた納税を行うもので、暦年課税のように相続税の節税に活用できる制度とは言えず、贈与者の死後まで待たずに、早い段階で子供に財産を移転したい場合の制度と言えます。
③ この制度の選択は受贈者が各々に、贈与者である父・母ごとに選択することが出来ます。
④ つまり、兄については相続時精算課税制度、弟は暦年課税制度といった方法や、同じ者が父からは暦年課税制度、母には相続時精算課税制度といったようなことも可能です。
7.6 住宅取得等資金の贈与の特例
親から満20歳以上の子に対し住宅取得等資金の贈与をし、子が相続時精算課税制度の適用を受ける場合に2,500万円の特別控除額に1,000万円プラスされ3,500万円までは贈与税は課税されません。
またこの特例を使用する際は、親の年齢制限はなくなります
7.7 特定同族株式等贈与の特例
親から満20歳以上の子に対し特定同族株式等の贈与をし、子が相続時精算課税制度の適用を受け一定の要件を満たした場合には2,500万円の特別控除額に500万円プラスされ3,000万円までは贈与税は課税されません。
またこの特例を使用する際は、親の年齢制限は満60歳以上に引き下げられます。
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