25.06.19 13:00 海外法人と請負契約を締結する場合の印紙の添付義務
(質問)
この度、当社はアメリカのA社と請負契約を締結することになりました。契約書2通を作成し、それぞれ1通を保管することになります。
印紙税の取り扱いについて説明してください
(回答)
1.契約書の作成と印紙税の課税
印紙税法は日本の国内法ですから、その適用地域は日本国内に限られています。
したがって、契約書の作成が海外で行われる場合には、たとえその契約書に基づく権利の行使が国内で行われる場合でも、またその契約書の保存が国内であっても、印紙税の課税対象とはなりません。
.印紙税法の課税文書の作成(成立)とは
単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいいます。
双方で署名押印等する方式の文書の場合、一方が課税事項を記載し、これに署名押印した段階では、契約当事者の意思の合致を証明することにはならず、その契約当事者のもう一方側が署名等するときに課税文書が作成されたことになります。
3.契約書の作成場所による印紙税の相違
(1) 日本国内で契約書に署名捺印した後、現地A法人に送付してA法人が、署名捺印した場合
A法人が署名捺印した時に契約が成立します。すなわち、成立の場所が海外(アメリカ)なので印紙税は課税されないことになります。
(2) 海外で契約書に署名捺印した後、現地法人から国内法人に送付して国内法人が署名捺印した場合
国内法人が署名捺印した時に契約が成立します。すなわち、成立の場所が国内ですので印紙税課税されます。
.課税文書の保存場所と印紙税
   契約書を日本国内で作成し、貴社とアメリカのA社でそれぞれが契約書を保存する場合において、印紙税の課税対象となる契約書とは、貴社が保存するものだけではなく、A社が保存するする契約書にも印紙税が課税されることになります。
 
(提案)
1.契約書類の作成は自社で
海外取引では日本と違って必ず契約書が付いて回ります。しかもかなり細部に渡った契約書が取り交わされるので、契約書は相手任せにせずに、自社で作成すると良いと思います。
契約書を作成する人は自分が心配とするころを契約書に盛り込むことが出来るからです。
2.契約書の作成(完成)が外国になる手法
① まず、作成した契約書類2部に自社のサインや印鑑を押印し、国外の相手に郵送します。
② 次に、相手方にサインや印鑑を押印して、完成した契約書のうち1部を返却していただくと言う手続きにしたならば
最終的に契約書が完成した場所は国外と言うことになり、旅費も交通費もかけずに印紙税を負担する必要はないことになります。
3.印紙税の課税対象とならない契約書であることの証明
印紙税の納付されていない契約書について後日いろいろトラブルが発生することを予防して、契約書上に作成場所を記載すると良いと思います。
 
参考 国税庁HP 外国で作成される契約書