エコカー補助金(環境対応車普及促進対策費補助金)の会計処理

  先月の決算検討会で、エコカ-補助金の会計処理について取り上げられましたので紹介してみます。

1.制度の概要

エコカーへの買い替え補助金制度が、平成21619日から申請受付開始されました。同制度は、政府が推し進めるエコカー普及促進策のひとつとして、現在の車から環境性能の良い乗用車や重量車に買い替える場合や、買い替えを伴わなくとも、環境性能に優れた車を購入する場合に補助金が支給される制度です。

 

2.補助金の種類

買い替え補助金だけでなく、自治体独自の補助金や、協会・団体による様々な補助金があります。

 

地方自治体によるエコカ-補助金

  各地方自治体のホ-ムペ-ジ等を参照してみてください。

 

3.エコカー補助金制度 

(1) 最初の登録等から13年以上経過した車を廃車し、新車に買い替える場合

自動車リサイクル法に基づき、「使用済み自動車」として引取業者により引き取られた車が対象。「下取り車」となった車は、廃車を伴う補助金の対象外となる

乗用車(登録車・軽自動車)

条件:平成22年度燃費基準を満たす車(ほぼ全ての新車が該当)

補助金額:登録車        25万円

軽自動車    12.5万円

重量車(トラック・バス等)

条件:新長期規制に適合する

補助金額:小型(GVW3.5tクラス) 40万円

中型(GVW8tクラス)  80万円

大型(GVW12tクラス) 180万円

(2) 新車を新たに購入する場合(廃車がない)

①乗用車(登録車・軽自動車)

条件:排気ガス性能4、かつ平成22年度燃費基準+15%以上達成

補助金額: 登録車   10万円

自動車   5万円

重量車(トラック・バス等)

条件:平成27年度燃費基準達成、

かつNOx又は粒子状物質を+10%以上削減

補助金額:小型(GVW3.5tクラス) 20万円

中型(GVW8tクラス)   40万円

大型(GVW12tクラス)  90万円

 

4.補助金の会計・税務における取り扱いです。

4.1法人の会計処理

(1)補助金は原則として、法人の収入(益金)になります。

(2)「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮の損金不算入」の制度によって

①車の購入金額からエコカー補助金を差引き、課税の繰り延べを適用できます。

②この場合、差引後の価格をもとに減価償却することになります。

したがって、減価償却額が実際の購入価額より少額となるので、廃車するまでの年度の経費が少なくなり法人税の取り戻しがされることになります。

 (3)圧縮記帳した場合の別表添付が必要です。  別表13(1)

 (4)圧縮限度額の調整

   自動車を取得してから補助金確定通知を受けるまで時間がかかりますので、事業年度をまたぐ場合があります。この場合、の処理方法は(法基通10-2-2

  ①取得年度 

取得価額による償却

  ②補助金確定通知を受ける年度

    以下、計算した限度額の圧縮処理をすることになります。

    国庫補助金等を受けた日におけるその固定資産の帳簿価額

    ×(交付を受けた国庫補助金等の価額/その固定資産の取得価額)

    =圧縮限度額

4.2個人(事業者以外)の処理

   個人が固定資産の取得等のため国庫補助金等の交付を受けた場合、国庫補助金等の内固定資産等の購入に充てた部分は各種所得の総収入金額に算入しない(所法42)ことになっています。

   この場合、確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付する場合に適用する(所法42③)ことになっています。

   宥恕規定あり(所法42)なので、確定申告しない個人は何もしない

 

4.3個人事業者の処理

(1) 国庫補助金等の内固定資産等の購入に充てた部分は各種所得の総収入金額に算入しない

(2) 取得した固定資産の減価償却の基礎となる取得価額はその資産の取得価額から補助金相当額を控除した金額を取得価額とする。

    法人の圧縮処理に同じ

 

5.エネルギー需給構造改革推進税制(エネルギー需給構造改革設備等を取得した場合の初年度 特別償却)について

一定の法人・個人が平成2141日から平成23331日までの間に新品のエネルギー需給構造改革推進設備等を取得等して、その取得等した日から1年以内に国内にあるその法人の営む事業の用に供した場合には、その事業の用に供した日を含む事業年度において、即時償却が認めらる制度が追加されました。(措法102⑥、425)

  対象となる自動車の種類

天然ガス自動車

燃料電池自動車

電気自動車