23.04.06 消費税の課税事業者の相続人の消費税
投稿日:2011年04月08日金曜日 15時26分03秒
投稿者:走る税理士 志村 賢一 カテゴリー: 相続税
23.04.06 消費税の課税事業者の相続人の消費税
(質問)
消費税の課税事業者であった父が死亡しました。相続人は、母と子2名になりますが、消費税の課税関係は、どのようになりますか。
(概要)
その年に相続があったときの相続人が消費税の免税事業者であっても、被相続人から引き継いだ事業の基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合には、事業を受け継いだ日以後、相続人は課税事業者となります。
つまり、消費税の課税事業者の事業を引き継いだ相続人は消費税の課税事業者となります。
(但し、被相続人が課税事業者選択届出の提出により課税事業者となっていた場合には、その届出書の効力は引き継がれません)
1. 相続人の消費税課税事業者の判定
相続により事業を受け継いだ場合の納税義務の判定は、相続があった年とそれ以後の年で分けて考えます
(1) 相続発生年度
被相続人の、相続が開始した年の基準期間の課税売上高のうち、各相続人の取得分(事業承継分)で判定します。(注・相続人単独の基準期間の課税売上高は合算しない。)
※1 遺産分割が確定していない場合、各相続人の基準期間の課税売上高は被相続人の課税売上高の法定相続分として判定します。
※2 課税事業者である個人が相続で事業承継した場合、上記の適用はありません。
※3 課税売上高の免税点は1,000万円です
(2)相続があった年の翌年以後
被相続人からの事業承継分と相続人のその年の基準期間の課税売上高の合計額で判定します。
2. 相続発生年度の簡易課税の適用の可否
(1)相続開始年から簡易課税の選択が出来る場合
事業を営んでいない相続人が事業承継した場合又は個人事業者である相続人が、簡易課税の適用を受けていた被相続人の事業を承継した場合は、相続発生年度の年末までに、簡易課税適用届出書の提出をすれば、相続発生年度から簡易課税の適用を受けることが出来ます。
(2)簡易課税の選択が相続開始年の翌年以降になる場合
下記の事業者が簡易課税を適用選択するには相続開始の翌年以降になります。
① 既に課税事業者である個人事業者で簡易課税を選択していない相続人
② 簡易課税の適用を受けていなかった被相続人の事業を承継することとなった個人事業者(免税)である相続人
【事例】
被相続人の事業を、相続人A=1/4、B=1/2、C=1/4で相続した場合
1. 各相続人が課税事業者となるかの判定
(相続人A)
H23年=上記1※2の規定適用、本則課税のまま課税
H24年=基準期間(H22)の課税売上高
=2,500万円×1/4+4,000万円=4,625万円=課税
(相続人B)
H23年=基準期間(H21)の課税売上高=3,000万円×1/2=1,500万円=課税
4月1日以後の売上に消費税が課税となります。
H24年=基準期間(H22)の課税売上高
=2,500万円×1/2+600万円=1,850万円=課税
(相続人C)
H23年=基準期間(H21)の課税売上高=3,000万円×1/4=750万円=免税
H24年=基準期間(H22)の課税売上高=2,500万円×1/4=625万円=免税
2. 相続発生年度(事例H23年の場合)の簡易課税の選択の可否について
①被相続人が簡易課税を選択している場合
相続人B及びCはH23年末までの簡易課税選択届出書の提出で簡易課税の適用を受けることが出来ます。
②被相続人が簡易課税を選択していない場合
相続人C(相続によって事業を開始した)が課税事業者になる場合のみH23年末までの届出書提出で、簡易課税の適用を受けることが出来ます。
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