23.07.05 複数人の養子となることはできるか
投稿日:2011年07月05日火曜日 17時11分44秒
投稿者:走る税理士 志村 賢一 カテゴリー: 相続税
23.07.05 複数人の養子となることはできるか
お昼は、近くの讃岐うどんで、かけの大盛に野菜天ぷらをトッピング、汗を拭きながら戻ってくると、銀行からの問い合わせです。
相談は「85歳の母親が孫を養子にしています。相談者も60歳独身で後継者がいないので、財産や身体の上からも同人と養子縁組をしたい。2重に養子縁組をすることが出来るか。」と言うものです。
1 (回答)
民法は、現に養子になっている者が、さらに他の者の養子になること(転縁組)を禁止していないので、養子縁組は可能です。
2 (解説)
(1) 養子縁組とは
養子縁組とは、実父母以外のものと法的な親子関係を作ることで、相続においては、実子と同じ権利・義務があります。
(2) 養子の解消は離縁が必要
また、養子縁組を解消しない限りは、養子と養親の関係はなくなりません。なくす場合は、「養子離縁届」が必要です。養子離縁をしない限りは、養子縁組は有効であり、また、養子縁組の根拠法である民法において、養子縁組を重ねてしてはいけないと言う定めはありませんから、養親が何人いてもかまいません。
(3) 戸籍謄本の記載
未婚の養子の場合は養親の戸籍に入籍することになりますが、戸籍謄本には
① 最初に縁組された養親の戸籍から除籍され
② 次に縁組された養親の戸籍に入籍されてます。
が①の戸籍から除籍されていることを以って、最初の養親との縁組が解消されるわけではありませんので、記載内容を良く確認することが必要です。
3 養子縁組による相続税の軽減効果
養子縁組は、手続きの「簡便性」と、税の軽減効果の「即効性」があるので、相続税が高額になることが予想される資産家が相続税の軽減策として利用している対策です。
養子縁組をすると相続税の計算をする上で、次の効果が生じます。
①基礎控除額の増加 (5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)
②生命保険金の非課税金額の増加(500万円×法定相続人の数)
③退職手当金等の非課税金額の増加 (500万円×法定相続人の数)
④相続税の総額の計算上をする上で累進税率が緩和される
4 養子縁組と相続
養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組があります。
(1)特別養子縁組と相続
特別養子縁組をすると、実親と特別養子に出した子供との親子関係が終了します。法律上は他人同然となりますので、実親子が互いに相続人になることはありません。もちろん代襲相続などの問題も生じないことになるます
そして特別養子縁組によって親子になった者同士が互いに相続人になります。なお、特別養子縁組の場合、基本的に夫婦そろって養子縁組します
(2)普通養子縁組
普通養子縁組(いわゆる一般的な養子縁組)の場合、養親と養子の間に新たな親子関係が生じますが、実親との親子関係が消滅する訳ではありません。すなわち養子に出しても、実親子間には依然として相続関係が存在します
養子は養親が死亡した時に法定相続人になるだけでなく、実親が死亡した時にも法定相続人になります。
逆に、子供が先に死亡し、親が法定相続人となる場合、養親、実親ともに法定相続人になります。そしてその法定相続分の割合は実親・養親に差は有りません。
(3)養子縁組と代襲相続
既に死亡した子供に子供がある場合、その子供(孫)が子供に代わって相続するのが代襲相続です。
養子が養親より先に死亡した場合の代襲相続権は、養子の子の出生(または養子と養子の子の間の養子縁組)が養子縁組の先か後で異なります
養子縁組前の子供は代襲相続人になりません。
養子縁組後の子供は代襲相続人になります。
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