42. 生命保険料控除
1.制度の概要
納税者が新(旧)一般の生命保険料や介護保険料、新(旧)個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。
2.対象となる保険料
① 対象となる生命保険料は、保険金などの受取人のすべてを自己か又は自己の配偶者、その他の親族(6親等以内の血族、又は3親等以内の姻族)とする生命保険契約等の保険料や掛金です。
② この場合の生命保険契約等からは、生命保険会社等と契約した保険契約のうち保険期間が5年未満で一定のもの及び外国生命保険会社等と国外で締結したものなどが除かれます
3.対象となる個人年金保険料
対象となる個人年金保険料は、個人年金保険契約等の保険料や掛金です。この個人年金保険契約等とは、生命保険会社等と契約した個人年金保険契約などのうち一定のものをいいます
4.留意点
① 支払った生命保険料が生命保険料控除の対象となるか否かについては、保険会社などから送られてくる控除証明書によって確認します。
支払った保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。
新・旧保険契約の区分(控除証明書に新旧の区分が記載してあります。)
       旧生命(個人年金)保険契約
平成23年12月31日以前に生命保険会社等と締結した保険契約
新生命(個人年金)保険契約
平成24年1月1日以後に生命保険会社等と締結した保険契約
② その年中に生命保険契約の保険料を支払った場合には生命保険料控除の適用を受けることができますので、年の中途で解約した場合でも、解約までに実際に支払った保険料について控除を受けることができます。
この場合において、解約返戻金やそれとともに支払いを受けた剰余金の分配や割戻金の割戻しの金額は原則として一時所得となりますので、支払保険料の金額から控除する必要はないとされています。
③ 生命保険料控除の対象となる保険料等に該当するかどうかは、保険料等を支払った時の現況により判定することとされています。
④ 生命保険料控除の対象となる生命保険契約等とは、一定の生命保険契約等で、その保険金等の受取人のすべてをその保険料の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。したがって、この要件が充たされている限り、たとえば妻が保険契約者であったとしても保険料を支払った夫の生命保険料控除の対象になります
⑤ 一時払い保険料
一時払いは、保険を一括して買うというイメージです。保険料は、全期前納払いよりも安いです。
一時払いは契約後に契約が消滅したとしても、払い戻しはありません。例えば、終身保険を一時払いで契約後、死亡した場合、死亡保険金が支払われますが、保険料は払い戻されません。また、解約した場合、あらかじめ決められた解約時の解約返戻金が支払われます。また、生命保険料控除も初年度しか適用できません
ただし個人年金の一時払は控除の対象外です。(保険料の払い込み方法に「年金支払い開始前10年以上の期間に渡って定期的に支払うもの」という条件があります。)
 ⑥ 前期前納払い保険料
全期前納払いは、全保険料を生命保険会社に預けておき、払い込み期日に保険料を支払うというイメージです。
死亡などで保険金が支払われたり解約した場合、保険料は払い戻されます。また、生命保険料控除も支払った年分だけ毎年利用できます。
5.生命保険料の控除額の計算方法
生命保険料控除額は一般の生命保険料、介護保険料又は個人年金保険料の区分ごとに、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算します。この方法で計算した金額の合計額が生命保険料控除額ですが、最高12万円が限度となります。
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  ③介護保険料
   ②新個人年金保険料に同じ
  (注) 支払った保険料とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。
6.安くなる税金の額
生命保険料控除とは、税金を計算する際に所得から引いて計算されるので、控除額最大の12万円の場合に所得税の税率10%の方の場合には、所得税が12,000円と住民税12,000円が安くなります。(所得税の税率は所得金額によって異なります。)
7.保険料控除の手続き
(1) サラリーマンの場合は年末調整
生命保険会社の発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付し、勤務先に提出して、年末調整で控除を受けます。
(給与天引きにより保険料を払い込んでいる場合は、勤務先に提出する必要はありません)
(2) 自営業者や年末調整しなかった場合
翌年2月15日から始まる所得税の確定申告において「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付して控除を受けます。
(3) 住民税の手続きは、年末調整や所得税の確定申告の手続きをすると、住民税の手続きは特に行う必要はありません。