25.07.26 「消費税率引き上げに伴い経過措置の適用を受け旨の通知義務」について
1. 消費税の引き上げと経過措置の概要
皆様ご存知のように、平成26年4月1日から国税と地方税を合わせた消費税率が、現在の5%から、8%に引上げられる見込みです。
この引上げに対応して、一定の要件(平成25年9月30日までの間に工事の請負契約等を締結し、その契約に係る課税資産の譲渡が平成26年4月1日以後になった場合)を満たす取引については、引上げ日以降に行われる取引であっても改正前の5%の税率が適用される「経過措置」が講じられています。
税率の経過措置は事業者の選択により適用するものではなく、また通知の有無や当事者間の合意にかかわらず適用要件に該当した場合には譲渡者及び購入者等の双方に経過措置の適用があることになります。
.経過措置の適用を受けた旨の通知義務
(1)  通知義務
経過措置適用を受けた譲渡を行った場合については、その相手方に対して書面で通知することが求められています。(改正法附則5条⑧)
通知の方法は消費税法30条9項に規定する請求書等に、その旨の表示(「消費税改正法附則5条3項等」(経過措置の適用により5パーセント程度の表示)することとして差し支えないことになっています。(法令解釈通達22)
(2)  経過措置の通知となる請求書等の記載事項
仕入れ税額控除を適用する要件として保存すべき下記の内容に加えて、適用を受けた経過措置の該当条項(「改正法附則5条3項」等により5%)記載することが必要と考えられます。
① 通知をする事業者の氏名または名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日又は纏め期間
③ 経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
④ 経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡等の対価の額(消費税を含む)
⑤ 通知を受ける者の氏名または名称
 (3)  通知が行われなくても経過措置の適用はあります
但し、通知が行われなくても経過措置の適用はあり、「請求書等」に消費税と共に「経過措置の適用により5パーセント」と表示すれば、特別に通知書を発行しなくても良いことになっていますが、相手方がうっかり8パーセントで仕入れ税額控除を行い、税務調査で是正された場合にトラブルになると考えられるので、通知しておくのが無難と思われます。