先日、女優 高木美保さんの講演をお聞きする機会を頂戴しました。最近はコメンテーターとしてワイドショーや各方面でご活躍の高木さんですが、現在は栃木県那須高原に在住され、仕事のために東京へ新幹線で移動されるというライフスタイルを通しておられるということでした。東京での女優業のストレスから、自然との共生の道を選ばれたということでした。自然と触れ合い、子供と共に農作業をすることにより、自然の怖さや偉大さ・感謝の心を知り、また、それを通じて人間関係の距離感をも学んだという高木さん。子供の頃から、親の保護の下で接してこられた『自然』のなかで生活することにより、現代に不足しているものを痛感されている様子でした。
毎日のニュースや新聞では数多くの残虐な事件が画面・紙面を覆っています。『どこか、何かがおかしい』みんながそう思っている中で、具体的にどうしたらいいのか対策を打ちあぐねているのが現代だと感じます。高木さんの講演をお伺いした後、先日、農業に従事されているお客様を訪問しました。毎年4月から6月初旬は田植えの超繁忙期です。会計の帳面を見せていただく為にパソコンを見てみると、スクリーンセーバーに田植えを楽しむお子様の写真が映し出されていました。あまりにも楽しそうな写真を見て、『お子さん、田植えを楽しそうにされていますね』とお伺いすると、『いつまで手伝ってくれるものだか・・・』と。確かに子供心には泥遊びの延長かもしれません。しかし、子供の頃に触れた泥の感触は大人になっても忘れないはず。ゲンゴロウやカエル、秋の稲穂にはトンボが飛び交い、全ての生き物がそれぞれに役割を果たしてお米の成長を育み、その命を我々が戴き生命をつないでいく。生命のあるものしか食さない我々人間が、生命の大切さを忘れている現代。自然に触れ合う機会を持つことが何かを変えていく原動力になるかもしれない。私も今秋にはタマネギを植えるお手伝いと、来年の田植えをお手伝いさせていただくことになりました。忘れかけていた土や泥の感触、自然とのふれあいを通じて現代に欠けているものを思い出さればいいと感じる今日この頃でした。

副所長:髙田直浩