下田を出たのが1時過ぎなので宿に入るにはまだまだ時間があります。
 伊豆半島の中央を南北に走る国道414号線を北上し天城越えをめざしました。途中に河津七滝(ななだる)ループ橋という変わった橋があります。高低差のある対岸まで螺旋状に橋がかかっているのです。グルグルグルと2回転ほど回るのですが幸い目を回さずに渡れました。
 そしていよいよ天城峠にさしかかります。
 「道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨足が杉の密林を白く染めながら、凄まじい早さで麓から私を追ってきた。私は二十歳、高等学校の制帽をかぶり、紺かすりの着物にはかまをはき、学生カバンを肩にかけていた。・・・重なり合った山々や原生林や深い渓谷の秋に見惚れながらも私は一つの期待に胸をときめかして道を急いでいるのだった。・・」
 学生は踊り子の一行に追いつこうとして道を急いでいるのですがトンネルの北口にあった茶屋で追いつきます。
 天城トンネルは明治38年に開通したもので今では国道からはずれた山の中で遊歩道として使われています。一行に追いついた学生はそこから下田までの道中を踊り子たちと一緒に旅をします。二人の間には何かが芽生えていたのでしょう。けっこう険しい山道を着物姿で歩くのは大変だったと思いますが昔の人は丈夫だったんですね。
 道の駅「天城越え」でわさびをトッピングしたソフトクリームをいただき今日の宿がある白田温泉に向かいます。熱川温泉のすぐ南にある温泉でそのお湯の熱いのなんのって。熱海とか熱川とか地名の由来なんでしょうね。
 翌朝宿を出発し、いよいよ最後の目的地である黒根岩温泉の混浴露天風呂へ向かいます。ここは岩がごろごろした海岸にある温泉でアメリカが見える温泉として有名です。まぁ実際には見えないんですけどね・・ あたりまえか・・
 そんなこんなで長いことひっぱりましたが、そろそろネタギレということで伊豆旅行のお話しは今回で終了となりました。続けてお読みいただいた皆様ありがとうございました。

 業務2課長 山岸