民主党の中小企業支援策 2
先日に引き続いて、民主党が公約(マニフェスト)に掲げている「中小企業への支援策」について考察してみようと思います。
(民主党の公約にある中小企業支援策)
3.特殊支配同族会社の役員給与損金不算入措置の廃止
この公約は意外と知られていないかもしれませんし、この制度自体良く分からないという方も多いかもしれません。
特殊支配同族会社の役員給与損金不算入は平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されている税制改正で、下記のような趣旨から導入された中小企業に対する”ある意味”悪しき増税制度になります。
簡単に言いますと、オ-ナ-一族が取仕切っている会社のオ-ナ-(社長)がもらう給料の給与所得控除額分は、そのオ-ナ-会社の経費として認めない(別表4で給与所得控除額分を加算する)という税制です。
『以前は、個人事業者が法人成りを行うと、オ-ナ-(社長)の報酬については法人サイドで損金の額に算入され、支給を受けるオ-ナ-側(社長)では給与所得に係る給与所得控除額が適用されていました。
つまり、社長に対する給与が(1)法人でも経費になるし(法人税法上) (2)個人としても給与所得の経費である給与所得控除額を控除することが出来る(所得税法上)という二重控除の状況になっておりました。
こんな状況の中、平成18年5月施行されている「会社法」では、最低資本金制度の撤廃等により個人事業者が法人設立をすることが容易になりました。このため法人税法では、上記の二重控除を狙った節税目的の法人成りが増加すると予測し、これを抑止するという目的で特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を導入しました。』
この税制は分かりにくいと思いますので少し補足しますと、通常の個人事業者は給与をもらえない代わりに、経費として何でもかんでも経理することができます(場合によっては入れられないものまで入れようとする事業主の方もいるようですが 例えば個人的な旅行代や交際費などなど!)。
一方で、会社に勤めて給与をもらっている給与所得者は経費を把握することが困難なため、原則として経費を計上することが許されていません
事業を営んでいる人は経費計上が出来て、給与をもらっている人は経費計上が出来ない!!
これでは給与所得者が可愛そう(と思ったかどうかは不明ですが...)ということで、どんな額の給与をもらっても不利になることのない給与所得者の経費である給与所得控除額というものを控除できることにしました。いわゆる給与所得者のみなし経費です
この給与所得控除額は、一般の社員はもちろん、法人の役員がもらう役員報酬や役員賞与にも適用されます。
このため1人で事業をやっている事業主は節税のために実質1人しかいない法人を作って、その会社から役員報酬をもらうことで、役員報酬を会社の経費にして会社の節税を図るとともに、社長個人としては給与所得控除額を給与から控除することでで個人的にも節税を図りました。
よって、会社形態にして社長が役員報酬をもらうことで、個人事業主として確定申告した場合に比べて、この給与所得控除の分だけ個人事業形態の場合より有利になります。実質は何も変わっていないとしてもです!
なので、法人税法ではこの節税目的の法人成りを無効化する趣旨で特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を導入しました。
民主党がこの特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を廃止した場合の影響ですが、結論から言うと実質的に黒字を出して儲かっている企業が減税になります。
減税額は、現在社長がもらっている役員報酬等に対する給与所得控除額に法人税率を乗じた金額になります。
専門的な話しをしますと、そもそも現状、別表4で役員給与損金不算入が加算されていない法人にとっては何のメリットもありません。
ただ、今後事業が軌道に乗って調整所得金額(所得金額+社長の役員報酬等)が増加する可能性のある企業や、現在は個人でやっているが事業が順調で利益が増加しそうなので節税目的で法人化するような個人事業主にとっては恩恵を受けられそうな政策といえます。
さてさて、続きの中小企業支援策はまた次回に!
それでは素敵な一日を♪
相模原市の税理士事務所 高木会計事務所
(町田市/八王子市/厚木市/横浜市/川崎市/座間市/大和市)
(民主党の公約にある中小企業支援策)
3.特殊支配同族会社の役員給与損金不算入措置の廃止
この公約は意外と知られていないかもしれませんし、この制度自体良く分からないという方も多いかもしれません。
特殊支配同族会社の役員給与損金不算入は平成18年4月1日以後に開始する事業年度について適用されている税制改正で、下記のような趣旨から導入された中小企業に対する”ある意味”悪しき増税制度になります。
簡単に言いますと、オ-ナ-一族が取仕切っている会社のオ-ナ-(社長)がもらう給料の給与所得控除額分は、そのオ-ナ-会社の経費として認めない(別表4で給与所得控除額分を加算する)という税制です。
『以前は、個人事業者が法人成りを行うと、オ-ナ-(社長)の報酬については法人サイドで損金の額に算入され、支給を受けるオ-ナ-側(社長)では給与所得に係る給与所得控除額が適用されていました。
つまり、社長に対する給与が(1)法人でも経費になるし(法人税法上) (2)個人としても給与所得の経費である給与所得控除額を控除することが出来る(所得税法上)という二重控除の状況になっておりました。
こんな状況の中、平成18年5月施行されている「会社法」では、最低資本金制度の撤廃等により個人事業者が法人設立をすることが容易になりました。このため法人税法では、上記の二重控除を狙った節税目的の法人成りが増加すると予測し、これを抑止するという目的で特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を導入しました。』
この税制は分かりにくいと思いますので少し補足しますと、通常の個人事業者は給与をもらえない代わりに、経費として何でもかんでも経理することができます(場合によっては入れられないものまで入れようとする事業主の方もいるようですが 例えば個人的な旅行代や交際費などなど!)。
一方で、会社に勤めて給与をもらっている給与所得者は経費を把握することが困難なため、原則として経費を計上することが許されていません
事業を営んでいる人は経費計上が出来て、給与をもらっている人は経費計上が出来ない!!
これでは給与所得者が可愛そう(と思ったかどうかは不明ですが...)ということで、どんな額の給与をもらっても不利になることのない給与所得者の経費である給与所得控除額というものを控除できることにしました。いわゆる給与所得者のみなし経費です
この給与所得控除額は、一般の社員はもちろん、法人の役員がもらう役員報酬や役員賞与にも適用されます。
このため1人で事業をやっている事業主は節税のために実質1人しかいない法人を作って、その会社から役員報酬をもらうことで、役員報酬を会社の経費にして会社の節税を図るとともに、社長個人としては給与所得控除額を給与から控除することでで個人的にも節税を図りました。
よって、会社形態にして社長が役員報酬をもらうことで、個人事業主として確定申告した場合に比べて、この給与所得控除の分だけ個人事業形態の場合より有利になります。実質は何も変わっていないとしてもです!
なので、法人税法ではこの節税目的の法人成りを無効化する趣旨で特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を導入しました。
民主党がこの特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度を廃止した場合の影響ですが、結論から言うと実質的に黒字を出して儲かっている企業が減税になります。
減税額は、現在社長がもらっている役員報酬等に対する給与所得控除額に法人税率を乗じた金額になります。
専門的な話しをしますと、そもそも現状、別表4で役員給与損金不算入が加算されていない法人にとっては何のメリットもありません。
ただ、今後事業が軌道に乗って調整所得金額(所得金額+社長の役員報酬等)が増加する可能性のある企業や、現在は個人でやっているが事業が順調で利益が増加しそうなので節税目的で法人化するような個人事業主にとっては恩恵を受けられそうな政策といえます。
さてさて、続きの中小企業支援策はまた次回に!
それでは素敵な一日を♪
相模原市の税理士事務所 高木会計事務所
(町田市/八王子市/厚木市/横浜市/川崎市/座間市/大和市)
Category: General
Posted by: takagikaikei
東京の税理士 wrote:
一人法人の節税策防止を目的として(の名目でしたが)導入
されましたが、そもそも一人しかいないのに、前3年間基準
所得金額が1600万円超も有る方が疑問です。
実務では、年商5億以上、社員15人位の規模の会社が、増
税となっていました。なかには、年商30億・社員120名
規模も『一人法人節税策防止』で増税させられていました。
言っている事とやっている事がミスマッチだから、税理士会
も大いに反対提言は、納得できます。