印鑑証明書の有効期限について  
 相続があると、土地の名義変更や預預金の名義変更をすることになります。まず、遺産分割協議書の作成が必要となります。遺産分割協議書には、相続人の実印を押印します。
 実印とは市区町村の役所に印鑑届けのある印鑑のことですが、この届けを証明するものが印鑑証明書です。印鑑証明書の有効期限が問題になるのですが、相続の場合には、被相続人が亡くなられた後に発行されたものであれば、有効期限は関係ありません。
 
1.印鑑証明書とは
 印鑑証明書とは、個人の場合はお住まいの市区町村の役所に、法人の場合は管轄の登記所に、届け出ている印鑑の印影が真正なことを証明するための書類です。したがって、印鑑証明書の交付を受けるためには、予めその役所や登記所に印鑑を届け出ておく必要があります。この届け出た印鑑を通常、実印といいます。
 なお印鑑証明書が必要な場合というのは、大事なケースですから、他人が簡単に真似できてしまうような三文判などは実印とすべきではないでしょう。

2.不動産登記を法務局に申請する場合の印鑑証明書の有効期限
 不動産登記を法務局に申請する場合の印鑑証明書の有効期限を例にとります。
 印鑑証明書が必要となる場合は、
(1)所有権移転や所有権抹消などの登記申請をする場合
(2)融資を受けその不動産に抵当権の設定登記を申請する場合
(3)土地の合筆や建物の合併登記を申請する場合
(4)相続人が、遺産分割協議書に印鑑証明書を添付して相続登記を申請する場合
などがあります。
 これらのうち(1)から(3)までの場合は、登記申請をする時点で発行から3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。これは、申請意思が作成後、長期間経過するとなくなるかもしれないことや、取引の事実が長期間経過していると実際にあったものか不確実性が伴うとされているためです。
 (4)の場合は、遺産分割協議書が真正に成立したことを証明できればよいので、3ヶ月以内という有効期限としての制約はありません。
 その他に登記申請以外では、遺言の作成など公証役場に提出する印鑑証明書は6ケ月以内の期間となります。提出先により有効期間が異なりますので、その都度事前に確認しておくことよいでしょう。