前回の飲食の記事に続き、美容業界に関する内容を記載したいと思います。


美容業界の税務上のポイント

―― 美容業界といっても様々ですが、具体的には?

大きくヘアスタイリングとエステティックの二つに分けられると思いますが、その中でも様々なお客様とお付き合いさせていただいております。
美容業と呼ばれる中には、一般的な美容室、理容店やエステティックサロンだけでなくネイル専門店や脱毛専門店、広い意味では美容体操やヨガ店舗の経営などが含まれます。

――美容業の税務調査は?

美容業は、カードの取り扱いも増えてきてはいますが、基本的には現金商売ですから、税務調査では、売上の計上漏れがないかどうかが主要なテーマとしてチェックされることとなります。そのため、事前通知なしに、お店もしくは個人事業であれば自宅に訪れるように思います。店の現金がどれだけあるか・レジ現金と現金出納帳があっているかといった点を確認することが主目的であるため、お店が休日である次の日は避け、売上が多い曜日の次の日(通常月曜or火曜休みが多いため火曜or水曜)の調査が多いように思われます。税務調査が入った場合、慌てて対応することのないよう、税理士にまずは連絡し、後日の対応に備えましょう。


――美容業の税務ポイントは?

①上記に記載しましたように、基本的には現金商売ですから、売上の計上漏れが一番のチェックポイントです。わざと売上を抜いていないか、過少に申告していないかといった点には十分注意を払いましょう。管理方法として、現金残高については、毎日、必ず日報や現金出納帳とチェックするように心がけましょう。カルテ(顧客データ)との売上差異がないかもチェックしておきましょう。個人事業では、一日の現金を、夜間金庫ないし翌日に銀行へ預けるようにして、通帳を通じて一日の売上が分かるようにしておくといったケースも多いです。また、カード売上についても半月ないし1カ月遅れでカード明細が届くため、この場合は、決算末では売掛金として売上を計上するよう注意しましょう。

②美容材料を練習用として自家消費したような場合は、これも、お店の売上として計上していかなければいけません。

③エステサロン・脱毛サロン等であれば、施術に比較的期間を要しますので、料金を一括して前受するシステムを採用しているケースがあります。よって、売上の計上タイミングがいつにするか判断する必要があります。

④美容業の開業には、比較的設備資金がかかります。リースにより定期的に最新設備に切り替えるという方法もありますので、利息負担することに納得出来ればそれもよいでしょう。運転資金に関しては、基本的に現金商売であるため何カ月間もの資金を準備しておくまでの必要はありません。


競争の厳しい業界だと思いますが、①顧客ニーズに合ったサービスの提供、②有効な広告宣伝活動の実施、③技術商売であるが故に、研修等による技術の向上といった点が、生き残っていく上では重要となるでしょう。対内的には、明確なコンセプトをオーナーが持ち、従業員と共有していくことも大事です。



山田会計事務所 【公認会計士・税理士/岐阜県岐阜市】