最近気になった報道で関連していると思われる記事を三つとりあげ簡単にみていきます。長いですので先に、みなさん、寒さで体調を壊さないように、素敵な午後をお過ごしください。

① 原子力委員会の委員が理事長をするNPOに東電等から多額の寄付
② 全柔連の不正助成金事件における第三者委員会のあり方
③ 選挙無効の憲法違反判決に対する政治家の対応

自分たちの行為の正当性や適切性等を証明してくれるのは自分たちでそれを行う
のは正しくないということは、みなさん、わかると思います。身近なところでは、PTAや自治会、これらは人格なき社団ですが、においては、会計係と監事が置かれていると思います。つまり、会計という行為の場合はあくまでもその行為から離れた立場にある人が監事監査を行うということです。
 これを上述の三つの事例に当てはめてみたいと思います。一番目においては、原子力委員会の委員として自ら信ずるところにより客観的な意見を述べることが求められています。そのうえで、誰がどのような意見表明をしているかということが明らかにされていると、意見の客観性・公正性が確保されることになります。しかし、このような業務をすべき委員が自ら主宰する団体に委員会からお金をもらっているとすると、業務を適切に行いにくいという問題と、仮に適切にたとえ適切な業務を行っていたとしても外部の我々からすると本当に適切にやっているかどうかどうしても疑問をもってしまうと言う問題が生じます。

 二番目の全柔連ですが、弁護士3名公認会計士2名からなる外部の者による第三者委員会が設立されました。これ自体はいいのですが、(詳しくみれば、誰がどのように選任したかという問題もあります)会長直属の委員会という点は問題だと思われます。今回の助成金の不正受給を調査した結果、会長に仮に問題があるとします。この場合に快調は自ら調査結果を公表するでしょうか?たぶんしないと思います。これでは適切に調査が行われたとしても意味があまりないことになると言う問題が生じます。

 三番目の選挙における投票価値の憲法違反に関する問題ですが、政治家の方は自らで襟を正して、問題にとりくむという意向のようです。自分たちの利害が関係する重要な問題かつ国民にとり重要な問題については、政治家の方々が自ら適切に行うことはむずかしいでしょうし、現実にもやれてはいませんでした。このような場合こそ、有識者と一般国民の方からなる第三者委員会を設けて、選任過程が重要なのは言うまでもありません、選曲の区割りや定数削減・是正に取り組んでもらうしかないと思います。ここで検討して出た意見を政治家の方々は取り入れるというのが筋だと思われますし、政治の信頼回復にもつながると思われます。
 上述した具体例に関する理論的位置づけや有意義な提案に結びつくヒントは会社法の考え方や監査論のなかにあります。それについては、機会を改めてとりあげようと思います。