2013年度税制改正において、相続税では、基礎控除の引下げや最高税率を55%に引き上げるなど税率構造の見直し等が行われます。
 その際、相続税の見直しによる急激な負担増を避けるため、また、個人の土地所有者の居住や事業の継続に配慮する観点から、小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例について、居住用宅地の限度面積の拡充をはじめとする見直しも行います。
 具体的には、①居住用宅地等の限度面積の拡充②居住用宅地と事業用宅地の完全併用③居住用の対象とする要件の緩和です。

 ①について、居住用宅地等の評価に係る特例(土地の評価額を8割減額等)の適用対象面積が、現行の240平方メートルから330平方メートルまでの部分に拡充されます。
 ②の居住用宅地と事業用宅地の完全併用については、現行では、「居住用」と「事業用」の土地がある場合、特例による減額を完全には併用できず、減額適用できるのは、「居住用」と「事業用」を合わせて最大400平方メートルまでです。しかし、改正後は、それぞれの適用対象面積まで、つまり「居住用」の330平方メートル(改正後)と「事業用」の400平方メートルの合計730平方メートルまで特例の適用が可能となります。
③では、二世帯住宅は現行、玄関などを別々にし、建物内部で行き来できないような構造では、同居していたものとは認められませんが、改正後は、内部で行き来ができるか否かにかかわらず、同居しているものとして特例の適用が可能になります。
 なお、上記の①及び②の改正については2015年1月1日以後に相続・遺贈により取得する財産に係る相続税について、③の改正については2014年1月1日以後に相続・遺贈により取得する財産に係る相続税について、それぞれ適用されます。

 また、老人ホームに入っていたことにより被相続人が居住しなくなった家屋の敷地は、下記の要件を満たせば、相続開始直前に被相続人が居住していたものとして、特例の適用が可能になります。
 その要件とは、① 被相続人に介護が必要なため入所したものであること②貸付などの用途に供されていないことです。
 該当されます方は、ご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成25年4月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。